日本財団 図書館


 

サ法を用いる。トレーサ粒子には人工海水と比重の等しい比重1.03〜1.05で直径0.2〜0.5mmのポリスチレン粒子を水槽?に混入させて用いる。流れとともに移動する粒子を連当なスリットを通して光源照度90万ルックスのコールドミラー付メタルハライドランプで照明し、ビデオカメラで撮影する。ビデオ画像を計算機に取り込み解析して平均流速、乱れの強さ、レイノルズ応力の分布を求める。
3.結果と考察
3-1 PEO添加による管摩擦低減効果
人工海水に10〜100ppmの濃度でPEOを添加した場合の管障擦係数λをFig.2〜Fig.4に示す。図中のλ=64/Re*はニュートン流体のReの代わりに非ニュートン流体のRe*を用いて表した層流域でのHagen−Poiseulliの式を、λ=0.3164Re*−0.25は乱流域でのBlasiusの式を表している。ここにRe*は非ニュートン流体に対する一般化レイノルズ数である。なお、水道水と人工海水の円管内流の管摩擦係数が同じであることは予備実験で確認してある。
Fig.2〜Fig.4に示すように、いずれの場合にも層流域では管摩擦係数λはHagaen-Poiseulliの式で近似されPEO添加の影響は認められない。
しかし、乱流域では管摩擦係数λはPEO添加により大きく変わっていく。以下、簡単のためPEOを添加することにより管摩擦係数λがニュートン流体の場合より小さくなることを管摩擦低減効果と呼ぶことにする。
人工海水にPEO-1を添加した場合にはFig.2に示すように管摩擦低減効果は濃度10ppmではほとんど認められず30ppm以上でもわずかである。人工海水にPEO-8を添加した場合にはFig.3に示すように管摩擦低減効果は濃度50ppmまでは濃度に比例して大きくなっていくが、濃度50ppmで飽和状態となりそれ以上濃度を高くしても大きくならない。なお、参考のため図中にはPEO-1O(分子量約200万)を添加した場合の加藤ら5)による実験結果も示してあるが、PEO-8に対する本実験結果は良好に一致している。
人工海水にPEO−18を添加した場合にはFig.4に示すようにPEO-8を添加した場合と同様に管摩擦低減効果は濃度50ppmまでは濃度に比例して大きくなっていくが、濃度50ppmでは同じになってしまう。また、濃度50ppm以上では層流から乱流への遷移域が不明瞭となっている。PEO-18に対する本実験結果はPEO−16(分子量約300万)に対する加藤ら5)による実験結果と石橋らの式

029-1.gif

と良好に一致している。
以上より、PEO添加による管摩擦低減効果は濃度50ppmまでは分子量の大きさが大きいほうが、また濃度が高い方が大きくなるが、50ppm以上では濃度をそれ以上高くしても管摩擦低減効果は改善されない。また、

 

029-2.gif

Fig.2 Coefficient of Pipe Friction for PEO−1 added Salt Water

029-3.gif

Fig.3 Coefficient of Pipe Friction for PEO−8 added Salt Water

029-4.gif

Fig.4 Coefficient of Pipe Friction for PEO−18 added Salt Water

029-5.gif

Fig.5 Degradation of Drag Reduction of Salt Water Added PEO(PEO−18,100ppm,Stirrer A)

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION